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蕎麦屋訪問-23 根津 よし房 凛

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   根津 よし房 凛  2006年1月23日(月)

  根津の街は、訪れるものには、深い味わいがある。長い歴史を感じさせる家並みに
  散在する飲食店、カフェ、甘み処などが、程々に見え隠れし、その様子が、思わず
  散策の足を止めさせる。
  千駄木から移築したという根津神社も、綱吉の代の建立だから、当時の権勢を
  示す立派な造作である。
  千駄木から谷中、この根津にかけて広い範囲で、資料館、美術館、名跡が点在し、
  格好の散策地区になっている。
  特にこの2,3年は、訪れる方が、多いという。これは、根津のカフェのご主人から聞いた
  ことだが、高齢者ばかりでなく、若い方が多くなっている。
  この5年ほど、ヒルズや丸の内、汐留めなど、天空高いビル群が好奇心や、マインドを
  刺激する一方、穏やかな平面志向の目線で豊かな感性を共有できる場所にも人気が
  出ているのである。
  消費文化、市場原理が象徴的に高層化をひた走る反対側で、人間中心志向の文化性がフラットな
  平面地図に宿っていくのは、まだ東京も捨てたものではないのだ。
  
  前段が長くなりましたが、よし房。
  そんな目で見ていくと、これはよく考えたな、というお店ですね。
  大塚の岩舟のような、斬新な設計も選択肢にあっただろうと、思いますが、
  7年前に新開店して新参者だという土地柄、2年前に、新開店のよし房。街の一角に
  何気なく昔からあるような、根津に馴染んでいる蕎麦屋の顔がある。
  しかし、昔ながらの蕎麦屋の設計に見えるが、店内の細部を見ると、空間の取り方、
  柱の肌合い、天井の間合いと照明、壁の設えが、意表を突いてはいないが、新しい工夫が
  ある。その普通さを装う中に、気合を感じる。
  それが全体のコンセプトであろう、凛、という名前にも現れている。
  店は、本人の意思とは別に、立地や、土地柄に立脚する観点が必要だという、
  見本のような店です。
  脱サラ蕎麦屋の典型と揶揄される、新奇性とは、対極にある。だが、店舗設計は違うが
  大塚岩舟、大島銀杏と同一線上にある、ニューウエーブの蕎麦屋であることは間違いない。
  酒の品揃え、肴のラインナップにもそれが見える。
  さて、注文の品は、焼味噌の春巻き揚げ、自家製のがんも、だしまき。
  春巻き揚げは、味噌の塩味を抑えてあり、紫蘇と巻いた蕎麦の春巻きが、やわらかみが
  あって絶妙。焼味噌の蕎麦クレープ巻きを天ぷらにしたと考えてください。
  自家製がんもは、想像を超えた中味の組み合わせで色んな触感があり、
  蕎麦の実のあんかけが、薄味の加減ぎりぎりで見切りも良かったです。
  だし巻きは、巻きが繊細で重ねの加減も技術が高いです。巻きの繊細さは、学芸大の
  夢呆さんと匹敵するのではないでしょうか。相当勉強されたと感じました。    
  
  よし房さんとは、多少のご縁があって、開店すぐに一度お邪魔しています。
  僕の蕎麦教室の先生と、よし房のご主人が先輩後輩の間柄で、夢八開店前に参考にさせ
  て頂いたのです。
  肴はもちろん、蕎麦に至るまで、誠実なお人柄が、伝わってきて、それがお店全体の
  空気になっていました。
  
  *自家製がんも。複雑な触感が楽しい。しかも餡も結構な薄味。


  *焼味噌の春巻き揚げ。蕎麦クレープが肴になるから不思議。


  *だし巻きも、丁寧な巻上げで、繊細な焼加減でした。


  *中細の蒸篭。開店当初はもっと細かったような気がしました。

   よし房 凛  文京区根津2-36-1 03−3823-8454
          営業時間11:00〜15:00 / 17:30〜20:30
          定休日火曜

 

        

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