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麻布十番 松玄 2006年1月13日(金)
麻布十番でも、仙台坂下だから、ややはずれにある。韓国大使館が少し上のほうにあり、
一昔前は、土地柄十番は都内でも焼き肉屋が、六本木と並んで多くあったところだ。
今でも、十番公園近くの焼き肉屋さんは、若い人たちで賑わっている。
今日は、3人連れである。一週間前に予約を入れて、テーブルが空いてなくて、カウンター
であったが、ここはそれがいいのである。
入店から、30分ほどで満席になり、以後、客がひっきり
なしにドアを開けては、満席を見て帰るのもいれば、待つのもいる。
ここの客層は理想的である。その上客を松玄さんが魔法をかけるように集めている。
ヒルズや、地下鉄が、影響しているだろうし、一頃のクラブ系の人達がどこかに引越して
すっきりしたのではないか。
我々の真ん中は、プリィティな28歳の女性。
対面には、50代の紳士と、30歳前後の美形の女性とのカップルが、別々に2組。
渡辺淳一的不倫カップルをイメージしてください。横並びには、40代の
男女3名、右手には、60に近い紳士2名。右手には30〜40代前後のヒルズ系男女が4人。
後は、テーブルに予約客達が、我々より先に来て、すでに杯を傾けていた。
少し退屈な話ですが、経営の目で見ると、一番お金が落ちる人たちの構成です。
水商売は、女性客3割が基本。それもカップルのように混在していたほうがいいのです。
客単価、7千円から、8千円超、およそ飲食店では難易度の高い設定ですが、
麻布十番の立地にうまくあわせて、その難易度は、軽く超えておられるようです。
3年前に、2度ばかり覗いた時から、そんなにメニューは変わっていませんが、従業員の方
を含めてお店が洗練されてきた感じがしました。客の年齢も、いい意味でやや上がった
ような気がしました。
蕎麦屋酒を、気心知れた人と愉しむ、というような印象はありません。夜、独りで入るには、
勇気のいる蕎麦屋です。
モダンハイカジュアルのトップランナーとして、より高感度な客層を開拓して行かざるを
得ないでしょう。
カウンターに囲まれて、網焼き場があり、専属の焼き方がいます。
バブルの時代、赤坂、六本木などに、店のセンターに炉端焼きを造作した飲食店が、
大流行しました。いつの間にか、廃れてしまいましたけど、何年か前の一時の、もつ鍋ブーム
のようなものでした。
今では、地方に行くと囲炉裏などで趣向するお店や、宿があります。
客単価2万超の六本木の接待専門の高名な料亭ではそれをコースのメインにしています。
その時は、高級食材を、板前さんが客室に来て備長炭で焼き上げます。
松玄さんは、蕎麦屋のハイカジュアル性に網焼きを中心に据えられたのでしょう。
カジュアル性とは、現代的居酒屋の大衆性の意味と解釈してください。
考え方を新しくすると、古い戦法も新しく生き返ります。この炉端風が見本です。
それでなくとも、ショーアップは、水商売の基本です。
人は実演が大好きです。それも火を放つものにどうやら心奪われるようです。静岡の
立派な金目鯛の開き、牛肉の巻き焼、野菜の網焼き、・・・客の目の前で、焼かれていきます。
不倫風カップルの女性が、<あれ、食べたいな・・><頼んだら・・>と、初老の男。
開きものや、刺身は、女性スタッフが何種類か実物見本で、選ばせるようにしている。
<これが美味しそう><頼んだら・・>
面白いように、お金が懐から落ちてきます。
我々も、金目鯛の開き、鴨のサラダ、水キムチ、かんぱちとひらめの刺身、牡蠣と白子の
朴葉焼、蕎麦屋定番の焼味噌、蕎麦掻、だし巻きなどを注文。
連れの女性には、網焼きのショー的な要素、蕎麦屋とはかけ離れた店内デザイン、
客層、そして初めて食する肴もあり、すべてが感動的だったようでした。
蕎麦屋とは思えない意外性、落差。松玄の仕掛けられた罠に我々も嵌ったようです。
僕は、若い頃、麻布十番の焼き肉屋の、草の家で、水キムチを味わって以来、あのスープ
が病み付きになっていたから、水キムチがあっただけで、嬉しいのです。
僕はどちらかと言えば単純な食性になってるんです。
最後の仕上げの蒸篭は、美味しかったですね。
3年前よりは、味が良くなっていました。ま、今日は喰い意地の張った客の一人に
なっておりました。
銀座に展開されたお店が、どんな客層を集めているのか、これも興味のあるところです。
(表紙の写真は、金目鯛の開きの網焼き)
*下に味噌を隠した牡蠣と白子の朴葉焼。小七輪で焼き上げる。
*かんぱちとひらめの刺身。上質な味でした。
*だし巻きは、甘みは強い。色出しがよく、技術レベルが高い。
*蒸篭は、予想以上に味・香りともよく、こしもありました。
松玄 東京都港区麻布十番3−11−12 03−3457−5690
営業時間 11:30〜14:30 17:30〜23:00
土日祭 11:30〜23:00
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