蕎麦屋訪問-20 神楽坂 蕎楽亭

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神楽坂    蕎楽亭    12月26日(月)

  玄関を開けると、わっ、とした賑やかな空気が、した。
  カウンターの奥2席しか空いていなかった。予約しておいて正解でありました。
  決して、席数のない狭い店ではない。6時30でもう満席なのだ。
  このところ、何回かお会いしたお蕎麦屋さんの口から、蕎楽亭の名前が上がっていた。
  市ヶ谷のお店を畳んで、神楽坂に移した新店舗は、お客さんばかりでなく
  同業者から見ても、興味のあるところなのであろう。
  それならばと、その人に代わって覗いてきましょう、ということになった。
  お店は、前の市ヶ谷の店を、そのまま新装開店したような造りである。門構えから、内装、
  オープンキッチンまで、市ヶ谷のイメージがそっくり踏襲されている。
  前店もそうだったが、ここまでのオープンな厨房は、蕎麦屋では蕎楽亭さんだけであろう。
  前と違うのは、奥にもうひとつ厨房があり、細かな作業をそこでしているようだ。
  オープンキッチンのある業種には、寿司屋、イタリアン、日本的洋食屋さん、ダイニングバー
  レストランなど、意外と多い。蕎麦屋さんでは珍しいだけなのだ。
  オープンキッチンは、客との親近感が一番の狙いであり、料理の技術や、素材の新鮮さなど
  公開し、趣向に亭主の気持ちを、感じてもらおう、とのことだ。
  それは、どんなにお洒落な設計コンセプトに基づこうが、この狙いを忘れてしまったら、
  意味のないものになる。・・そんな店も多々見受けられますが。
  従って、料理屋、特に居酒屋、寿司屋が、多くなるのはこのためである。もちろん、
  厨房のスペースの効率化も理由にある。
  オープンなのだから、当然素材がすべて客からわかる。客はその素材と料理技術に対して、
  等価と感じる対価を支払うわけである。
  素材がよいもので、なおかつ清潔なキッチンで、高い技術があれば、
  それだけ価格を高く設定できる可能性があるし、それなりのものなら、それなりの価格しか
  取れないというわけである。
  特に、オープンキッチンは、清潔さ、素材の保存状態が、客の目に入るから、それが最低
  基準になるだろう。汚れが目立つキッチンでは、美味しいと感じないのは当たり前の心理
  であろう。
  小料理屋でも、まな板と包丁と布巾を見れば、亭主の技術が判るという。
  そんな目で見ていくと、蕎楽亭のコンセプトが、はっきり見える。
  これは、蕎麦屋と居酒屋のドッキングである。
  黒澤、松玄などのビジネス展開型とは違う。また、大川屋のハイカジュアル系とも違う。
  言ってみれば、スタンダードヘビーカジュアルのポジションになるだろう。
   
  さて、注文は、牛すじの煮込み、はぜときすの天ぷら、蕎麦屋定番の卵焼き、
  いたわさなどである。
  牛すじは、これはどこの居酒屋にも負けないほど、おいしく、透き通った味でありました。
  いたわさは、富山産の昆布で巻いてあるもの。これなども居酒屋的発想かな、と。
  卵焼きは、だし汁を効かせるというより、卵の産地の上質な味で食べさせる考え方でした。
  はぜの天ぷらは、亭主自ら調理して、骨をから揚げにして、これもなかなかの肴の逸品。
  日本酒が10数銘柄ある中で、福島の蔵が多いので、ご亭主にお聞きしたら
  福島のご出身だそうである。
  ならばと、福島の冷酒を、4種類ほどお願いしたが、例によって、銘柄は失念したが、なかなか
  香りもあって、しっかりした飲み口でした。
  宵待日記のしおんさんにこれらのお酒の論評をお聞きしたいところです。
  一時間ほど過ごしたら、空き待ちの客が何組かいる。
  さてお蕎麦は、隣席の常連さんに「今日は、十割失敗しちゃって・・」と、ご亭主が
  笑いながら、会話されていました。十割が無いのです。
  つなぎ一割りの蒸篭をお願いしました。
  蕎楽亭さんのお蕎麦は全体的にこしを大事にされているようです。
  お隣の常連さんたちも、美味しいね、と呟きながら手繰られておりました。
  居酒屋風の肴がしっかり揃っています。饂飩まであります。
  粋の風情がまだ根強く残る神楽坂で、蕎楽亭の看板がどう、上がっていくか、
  ご亭主の作戦通りになるか、興味の尽きないものがある。

  
  *牛すじの煮込み、上品な味。富山産の昆布巻き、いたわさ。

  *はぜとキスの天ぷら。2人前、骨のから揚げ添え。

  *だし巻きたまご、産地もので、味の濃いたまごでした。

  *蒸篭は、切れ味が鋭く、こしが強調されています。

  蕎楽亭  東京都新宿区神楽坂3−6神楽坂館1階 рO3−3269−3233
       営業時間 11:30〜15:00 17:00〜21:00
            (土11:00〜15:00)
        定休日   日曜・祝日         

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