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飛行機の操縦・単位

2005年3月22日

日本航空協会所属でオービーズでのお知り合いである長島さんのお知り合いである大石さんとは2004年頃、新橋は大串(筆一さんご愛顧の焼き鳥屋さん)地下宴会で知己を得、その後、岩本町「夢八」(私の贔屓のお蕎麦やさん)宴会で熱く語ってくださった大石さんの、拙掲示板での書き込みで始まった、飛行機操縦に関するあれこれに関する掲示板ログです。ただし3/3以前のログをコピーしておらず流の向こうに消えてしまいました。

旋回に関して 投稿者: 大石  投稿日: 3月 4日(金)07時23分26秒

じつは、急旋回でバンク角が大きいとき(プラス上昇を伴う場合なども)には、主翼は通常の3−4倍の揚力を発生させなくてはなりません。「Gが増える」というのは、揚力もその値を倍数にした値になっています。

そのとき「誘導抵抗」というのが「G」に比例して大きくなって、フルパワーでも足らなくなります。地上の乗り物で「小回り」するのとは、そこが根本的に異なると思います。

航空機の抵抗には:
1)形状抵抗:形状により異なる抵抗
2)摩擦抵抗:表面と気流の間の抵抗。層流翼はこれが非常に小さくなります。
3)誘導抵抗:揚力を発生するのに比例して増える抵抗。翼が細長くなると小さくなります。また、楕円翼でも効果があります(飛燕の細長い翼&スピットファイア)。

ということで、特に間合いをとる場合など、空戦中はスロットルを頻繁に操作したのでしょうが、先のP-38パイロットの記述、すなわちフルパワーのままというのも現実だったのだと思います。

また、ラダーを蹴飛ばして「横滑り」する際には、胴体側面を気流にさらすために抵抗が増え、また主翼が斜めに気流に当たるので、わずかに揚力が減少します。そのとき「ボールが飛ぶ」のですが、通常の操作では、ボールはあくまでも中央にあるようにします(滑らせない)。

エルロン、エレベータ、ラダーそれとスロットルは、あくまでもその状態にあっているようにハーモナイズさせて操作します。なので、操縦者は、そのときどれだけ角舵をとっているかほとんど意識しません(というか、「そのときは何センチだけ操縦かんを動かす」という教え方は全く行われません)。

なによりも、空戦は「巴戦」の割合はそれほど多くはないのでは?燃料と時間を食うので効率的ではない、という記述を読んだことがあります。

それともう一つ:航空機のエンジンには、自動車のそれのように、アクセル開度に応じた「点火時期の進角機構」が全くありません。「スロットルは注意して扱え。乱暴な操作は慎むように」というのは、初歩の練習生がまず教えられることです(そもそもディストリビュータ点火方式ではないのです)。

操縦練習を始めて、最初のうちは機首があっち向き、上下向きでまったく何をやっているのか分かりませんでしたが、教官にガミガミ言われて必死になっているうちに何となくできるようになるのは面白いです。



すごく勉強になります 投稿者: 漫画さん  投稿日: 3月 4日(金)08時43分48秒

大石さんのおかげで、細かい飛行原理がよく理解できました。本当にいい勉強会。感謝です。
がらんどうさんも例で出していた「加藤寛一朗:零戦の秘術」も、私のバイブル的書ですが、専門家ですら坂井三郎の操縦技術をなかなか理解できないようでした。中ではマルセイユの空戦技術も書いていますが「いつも遼機とは旋回が違っていた」と。巴戦が行う急旋回と、相手の予想外の行動をとる急旋回を区別しなけでばいけません。それに零戦、109Fの優位点も理解しなければいけません。
零戦>圧倒的な機体の軽さ。旋回能力。
109F>武装が最小限で軽い。急激なGにも息つかないエンジン構造。(キャブレターじゃないからね)
大エース達がそれを利用しないはずはありません。VJさんによると、平気でカウルフラップを利用する人間もいるそうです。更に禁じ手「トリムタブ」操作もやっているそうです。もう、こうなっては常人の理解外の世界。
空戦では、「普段、やってはいけない常識をあえて行う」と、坂井三郎のお言葉。我々、一般人にはとても理解できない世界ですが、少しでも垣間見たいのは飛行機モデラーの性。

ただどの本にも、細かいスロットル操作の記述が少ないのですよ。太平洋のP38は、零戦のお株を奪うような、失速反転をかなり多用して、日本機を脅かしています。
急旋回は空戦の邪道。しかし場合によっては状況を逆転する秘儀。

がらんどうさんに迷惑をかけたくないので、この辺でほどほどにしたいと思います。しかし、他の方々の蔵書のなかで、細かい操縦操作の記述があったら教えてください。

大石さん>本当にいろいろありがとうございました。今度、新橋あたりでNさん交えて飲み会やりましょう。(もちろんガランドウさんに声をかけますよ♪)

ペガサスさん>マルセイユの空戦技術の本質が知りた〜い。こんど勉強会しようね。


ディスカッション 投稿者: 大石  投稿日: 3月 4日(金)10時58分10秒

とうとうここまで来ちゃいましたね
こんどは直接集まってやりませんか?

(私の知っている飛ぶ人たちの中には、あまり昔のヒコーキのことに入れ込んでいる人はいません)



続々、旋回 投稿者: ペガサス  投稿日: 3月 4日(金)12時59分12秒

がらんどうさん、すいません。面白いのでもう少しだけ続けさせてください。
皆さん、どんどん他の話題を書き込んでくださいね。

まず、前々回書き込みの追加。
模型飛行機のペラを回して、天井から糸でつるしてグルグル回るおもちゃがありますよね。
あれが実物の旋回そのものだと。
糸にかかる張力がすなわち揚力なわけで、それに引っ張られてグルグル回る。
そのときの張力は、ただぶら下がっている状態(つまりは直線飛行と同じ)よりも大きい。
回るスピードが速くなれば、糸にかかる力はより大きくなる。つまり速く回るには揚力が余計に必要。

さて、遠心力。
遠心力は、質量と速度の二乗に比例し、回転半径に反比例します。
ということは、同じ半径で2倍の速度で回ると4倍の遠心力がかかる。
だから、それに相当する揚力が必要となるわけですね。
でも、揚力の公式を見ると、揚力は速度の二乗に比例する。
ということは・・・

お、昼休みが終わる。


エアーブレーキ 投稿者: 大石  投稿日: 3月 4日(金)14時02分37秒

Me-262でのレッスンとして、戦闘機としては「エアーブレーキ」がぜひ必要となったようです。
私の知っているジェット戦闘機では、エアーブレーキスイッチはスロットルについていて、ひんぱんに使えるようになっているようです。

じつは「フラップ」も、ほとんど着陸用のエアーブレーキなんです(そのように使います)。フラップを下げると抵抗も増えるので・・・。


さっきの続きです。 投稿者: ペガサス  投稿日: 3月 4日(金)17時35分46秒

揚力の公式が常に成立するなら、飛行機は速度が増えても最小旋回半径が増えないという、車やバイクとは全く違う旋回特性を持つわけで、それなら空戦中は常にエンジンフルパワーが正解ということになりますが。

しかし、限界状態での機動を考えると、迎え角など条件が異なるので、揚力の公式は成立しないのでは?とも思えます。
実際のところ、速度と最小旋回半径の関係ってどうなんでしょう。

もう1つ。旋回中のスロットル操作は、機体に作用する力のバランスを変えるわけで、うまくすると機首上げモーメントを発生させて旋回を助けるのでは? なんてのも思いつきました。あるいはトルクとロールの関係に影響するとか。

などなど、考えるうち疑問がどんどん湧いてきます。
ここは是非、実際に操縦桿を握っている方のご意見をお聞かせください。


数式です(頭痛ガンガン・・) 投稿者: 大石  投稿日: 3月 4日(金)20時24分42秒

揚力の式(以降、空気の圧縮性を考慮しない速度範囲での話し。ジェット機は知りません):
1/2*(空気密度)*速度の二乗*主翼面積*揚力係数
全てメートルにすれば、Kgであらわせます。水平飛行を考えれば、揚力=総重量ですので、機体と対気速度によりけりで揚力係数が求まります。

抗力の基本的な式。
1/2*(空気密度)*速度の二乗*断面積(機体を正面から見た投影面積)*全機抗力係数
(水平飛行中の抗力=プロペラの推進力)
全機抗力係数は、誘導抵抗、形状抵抗、摩擦抵抗を総合的に合わせたもので、これは大まかな数式です。

プロペラは「プロペラ効率」に支配され、私の教わったところによれば、効率が高いのは:
1)翼数の少ないほうがよい。Uコンの速度競技機では、「1枚ペラ(羽根が片方だけで、錘でバランスさせる)」なんてのもあります。まっすぐな2枚ペラは、まんざら低価格だけが理由ではありません。
2)直径は大きく(B-29、5メートル)
3)回転数は小さく(減速ギア比を大きく。すなわち、プロペラ翼端の円周と前進の合成速度が音速に近づくのはよくない)

でも、大馬力を吸収させるには、5枚ペラもやむをえなかったということです。大きくて質量の大きなプロペラをブン回すと、反作用(トルク)が大きくなります。F4UやF6Fが着艦をミスして、その際に左に取られている写真をよく見ますが、復行の場合に左旋回すると言う手順のせいもありますが、たぶんあわててパワーを入れたため操縦で回復できなかったということです(英国では、操縦席から見て右回りのエンジンは少ないですね?)。

旋回半径の式:
速度の二乗/Gの値*バンク角のタンジェント  Gは=1/バンク角のコサイン(すなわち、60度バンクで「2」となり、それ以上の角度では急激に増えます)

ほかに要素はありません。制限とすれば、主翼の揚力を増やすことができ、その揚力増加倍数がすなわち「G」です。バンク角を大きくとっても、それに見合っただけ揚力を増やさなければなりません(迎え角あるいは速度を増大させる。速度はできるだけ小さいほうがよい)。
これは水平旋回中のつりあいの式です。ただ傾けただけでは、たとえパワーがあろうとも機体の軌跡は下方に向きます。
速度を増さずに揚力を増やすには:
1)迎え角を増やす
2)フラップか何か揚力増加装置を使う(主翼面積の広がるフラップもあります:紫電(改)、P-38)。抵抗は相当増えますが、タイミングをつかんで使うのだと思います。

旋回中は、バンク角で回るのではなく、どちらかと言うと、エレベータを引っ張って切り込ませる感じですが、その際に引きすぎて失速仰角を越えそうになると、すこし慣れれば、主翼から気流がはがれて(すなわち「失速」を起こしかける)、自分がかけている「G」(揚力)がスコッと抜けるのが体感で分かるので、操縦かんのひきをちょっと緩めます。

実際の巴戦では、相手もぎりぎりのところでがんばっているので、ほんの少しの機体の抵抗の差(たとえばトリムタブの角度とか、わずかな「すべり」とか)、そのときのエンジンの調子などで、勝負を続けるか、あるいはトンズラするのかが分かれると、空自のセイバーのパイロットだった方の著書にあります(PHP出版、「戦闘機の戦い方」、技報堂出版、「操縦のはなし」ともに服部省吾さん著、この2冊は最高です)

そのあたりを探りながら旋回するのですが、「抜けるクセ」が機種間でかなりまちまちです(個別の機体によっても)。P-38とP-51ではそうとう感じが違うようで、先のP-38のレポートの人は、最初の高速失速でひき方を加減せず、スピンに入ったのでしょう(たぶん、ナメてかかったのかも)。回復に3000メートル以上も落下しています。

その場合に、「翼面荷重」が支配的なのですが、一方主翼が大きすぎるとダイブでの抵抗となります。そこのところのバランスでしょう。

たぶん、ゼロ21型は最高の操縦性だったと思いますが、米国では「パイロットの飛行機」などといってP-40をほめている人もずいぶんいますまた、フィンランドに行ったB-239(バッファローの民間型)は異様に軽く、それだったらフィンランドのパイロットの賞賛する機体になったのもうなずけます(自重は1700kgとなっていますが、たぶんいろいろと各国製の装備品を追加して重たくなってでしょう。あの機体は民間型としては44機きっかりしか生産されていないので、当時の米政府の最大の好意と思われます)。

うわっ、長くなってしまいました。操縦性についてはまた・・・


空気密度 投稿者: 大石  投稿日: 3月 4日(金)21時02分51秒

忘れました:空気密度は、全てメートル(速度はメートル/毎秒)にする場合、何も考えず

0.125

を使ってください(単位は自分でも難しいので省略します)


とりあえづ、この辺に齟齬があるんじゃないかと思うところのみ 投稿者: J1N1-Sa  投稿日: 3月 4日(金)21時17分32秒

え〜、操縦は出来ないし、最近は仕事でも飛行機とは相当特性の異なるものを扱ってるんで飛行機のことは忘れかけてるし、ましてや戦闘機の機動に至っては全くの素人みたいなもんですが…。

ペガサスさんが仰るのは、水平面の釣合いは

 [0.5ρ・CL(α)・S]・v^2・sin(φ) = mv^2 / R

  CL(α):揚力係数
  v: 前進速度
  φ: バンク角
  m: 質量
  R: 旋回半径

ですから、(便宜上[ ]内定数として扱った場合)を両辺からv^2を払ってやれば、旋回半径Rはバンク角φだけで決まり、vには依存しないのではないか…ということですよね。

で、何でそうならないかというと、水平旋回を考えたときには縦方向の釣合い

 [略]・v^2・cos(φ) = mg
  g: 重力加速度

を同時に満たさなければならないわけです。mg=一定ですからφは独立変数ではなくて、vの値に依存するんです。従って旋回半径Rもvに依存することになってしまいます。でどう依存するのかというと、両式を連立させて[略]・v^2の項を消去してくると出てくる、

 R = v^2/(g・tan(φ))

です。gは重力加速度のつもりなんで、大石さんの式ではここに荷重倍数が入っているのがちょっと良く判らないのですが…。大石さんの仰るGは意味としては

  (その時の揚力)/(水平時の揚力)
 =(その時の揚力)/(質量×重力加速度)
 =1/cos(φ)

という理解で良いんですよね。


補足(長々とすみません) 投稿者: J1N1-Sa  投稿日: 3月 4日(金)21時39分26秒

まぁ、三角関数なんで消しきれないわけなんですが

 R = v^2/(g・tan(φ))

にもφの項は残ってるし、速度が大きくなれば高度を維持したままでもφを大きく取れるんで、別に旋回半径が速度の二乗に比例すると言ってるわけじゃないんです。戦闘機動レベルで考えると寧ろそんなに変わらないという理解もアリなんじゃないですかね。ただφが大きくなると当然CL=一定ではすまないんで話はややこしくなりますし、それ以前に大石さん仰るように互いに相手の旋回弧の中に入り込もうとするような機動をすれば速度はものごっつい勢いで落ちる一方でしょうから、フルパワー固定は正解なんじゃないかと思います。エンジンのほうで例えばGの掛かり方によって出力制限が掛かるような場合は別ですが。

で、いままで釣合い旋回を前提に話してるんですが、空戦中は釣合い旋回を行わずにフルラダーで横滑り旋回に近いことをしているような話も聞きますから、そうなるとまた速度につれて大回りになるような要素も出てくると思います。あと、どの辺りで人間にとってクリティカルなのかはよく知りませんが、同じ旋回半径であれば操縦者にかかるGはまんま速度の二乗で効いてきますから、その辺りも速度が大きくなると旋回半径が大きくなる方向に効きますかね。

>大石さん
失礼ながら、空気密度はSIだと海面で1.225[kg/m^3]だと思うのですが…。先のGの話といい、結果は兎も角個々の数値の取り扱いが必ずしもSIに準拠していないような気がします。いや、航空業界は割とそれが普通だったりするんで、間違っているとかいうつもりは毛頭ないのですが。

フラップ(に限らず高揚力装置)は低速での揚力を増やすと同時に抗力も増やすんで、数式で扱っていると「何のため」と一意に言いにくいですね。現場の方がエアブレーキ感覚で使っているなんていう大石さんのお話は凄くためになります。


ラダー 投稿者: 大石  投稿日: 3月 4日(金)22時52分21秒

飛行中にラダーだけを蹴飛ばすのは、正常な操作ではありません。空戦中にラダーで滑らすのは、追いかけられている相手が「軸線」をあわせ、まさに射撃する瞬間にそうすると、いくつもの戦記ものに書いてあります。

つまり、瞬間的な回避操作です。この場合、自分を滑らせ、相手に自分の進行方向が変化するように錯覚させるということです。ただし、抵抗もすごく増え、また姿勢を保とうとして「クロスコントロール」(ラダーを蹴飛ばして、主翼のバンク角を変えないためには、エルロンをわずかに逆に操作します)とせざるを得ず、舵面に角度をつけたままにする必要もあって、さらに抵抗も増えます。

その際の風切音の増加はすごいもので、乗っていて抵抗が増えている感じがものすごくします。

旋回では、基本的に滑らせるのはご法度です。すなわち、失速した場合に「スピン」に入る可能性も大きくなるからです。特に高速の場合でも引き付けすぎると、突然バサッと裏返しになることもあります。

ピッツS-2Aとかいったアクロバット機で、水平に飛んでいてくるりと高速ロールするのは、「水平方向にスピンに故意に入れている」のです。

失速警報という用語がありますが、昔の機体の場合は仰角が大きくなって、胴体及び翼根からはがれた乱流が尾翼に当たって、舵面から操縦かんを通じて、わずかな振動が伝わります(坂井三郎さんの記述にもあります「ガタ」)。あるいは、操縦席でも「バフェット」を感じられるように設計する場合もあります。

最近は、小型機でも簡単な構造の「失速警報機」をつけているものが大半ですが、その対気速度への安全マージンはずいぶんと大きくなっています(5ノット以上)。

あと、申し訳ありませんが、私は数学とか物理が大変苦手なので、単位とかはよく理解しておりません。すみません(パイロットは、とくにこのようなのは、ほとんどフィーリングで飛ばしますので)。


Gの補足です 投稿者: 大石  投稿日: 3月 4日(金)22時59分3秒

あと忘れました:
旋回半径の式:(対気速度の二乗)/G*(バンク角のタンジェント)
の「G」は、1gでの重力加速度でなく、いわゆる旋回時の「G」の大きさです。

適当に速度を設定し、そのときのGを入れてみると、簡単に理論的な数値が出ます。バンク角の影響が大きくなることに気づかれると思います。


あわてました 投稿者: 大石  投稿日: 3月 4日(金)23時04分10秒

またまた訂正です
前の投稿で「G」は加重倍数と申しましたが、N1K1さんのおっしゃる「g」、すなわち重力加速度でした(また勉強しなおします)

混乱すみません


おお、数式。 投稿者: ペガサス  投稿日: 3月 4日(金)23時23分3秒

私のようなニセ理系でなく、本物理系の登場! 
私の言いたかったのも、まさにv^2が払える、だからvの依存度が小さいということです。さて、

 R = v^2/(g・tan(φ)) 

という式ですが、tanφはφが90度に近くなると急激に大きくなるので、依然vとRの関係は???でしょう。
それと、私も迎え角が変わればCL(揚力係数;一定とされる)も変わるのではないかと思います。あれは迎え角一定という条件下でのものではないかという疑問。

いずれにしろエクスパルテン達は、教科書どおりでない意表をつく操縦で、敵機をかわし、敵機を墜としたのでしょうね。

それと、数式におけるm(質量)に注目です。
ゼロ戦はmが小さいのですね。ということは同じ速度、揚力で小さい旋回半径となるのが数式から導かれます。だから神秘の空戦性能となったのでしょう。


意表をつくといえば、 投稿者: 宮前  投稿日: 3月 5日(土)00時11分55秒

ドイツのすごい人はほとんど縦機動しかしなかったような印象があるんですが、ハルトマンの、垂直旋回〔つばさが垂直にたつやつ)で追われてる時にわざと旋回をゆるめて相手の機首にかくれるというやつは意表をつかれました。
スロットル操作といえば、ラムの「雷撃」でソードフィッシュでCR42と空戦するときに描写があった気がします。戦闘機じゃないけど。
ひねりこみは赤松貞明「日本撃墜王」に非常にわかりやすい、しかも「零戦の秘術」と変わらない解説があったのですが本がうまってて出てきません・・・


もう止めようと思いつつ・・ 投稿者: ペガサス  投稿日: 3月 5日(土)06時39分18秒

 R = v^2/(g・tan(φ))

という式は、重力、揚力、遠心力のバランスがとれた状態、言い換えるとボールが真中にある(パイロットはGを縦方向に感じる)状態ですね。
これを、高度は低下してもいいから、バンクを垂直にして揚力をすべて旋回に使う究極の状態を考えると、

向心力(遠心力の反力)=mv^2/R 、 揚力=Cv^2(Cはとりあえず定数??)で、向心力=揚力となり、

 R=m/C

となって、やはりvが消えます。mとCは機体固有の数字で、mは重さ、Cは揚力の発生しやすさみたいなもので、翼面積や揚力係数に比例します。

ゼロ戦はmが小さいだけでなく、Cが大きそうで、相乗効果で旋回半径Rが小さいのでしょう。
ただし、小さい半径を低速で旋回する軽戦と、大きい半径を高速で旋回する重戦とは、どちらが優れるとは一概に言えず、むしろ角速度(言い換えれば一回転するのに要する時間)の問題かも。そこでは速度が重要な要素です。

リノのエアレース。パイロンを回るとき、パイロットはスロットルどうするんでしょう。角速度最大がタイム最小となりますからねえ。


途中でやめないで・・ 投稿者: きらら  投稿日: 3月 5日(土)11時48分18秒

すみません、昨日は風邪で寝込んでいました。
話がどんどん難しいほうへ向かっていますね。私のサル頭では何度読んでもわかりません。
とりあえず、空戦の戦記を読むほうが先かも。
がらんどうさん、失礼いたしました。今後もよろしくお願いします。

>漫画さん
スロットルとはアクセルのことですか。ありがとうございます。
長年の疑問が解けました。
それにしても自動車の運転も十年くらいしていない私が、飛行機の操縦など理解できるわけがありませんね(汗)。

それでも、文字でお話を聞くのではなくて、実際に会ってお話できれば、もう少しは面白く理解できそうな気がします。


横から茶々入れ。(^^; 投稿者: やまい  投稿日: 3月 5日(土)13時34分35秒

一応は理系のハズなんですがね〜、以下略。(^^;;;
この手の御話は、手振り身振り、手元にヒコーキの模型があって、それを見ながら見せながらの
楽しい会話が1番でしょうねぃ。

空戦戦技に関してだと、ごくわずかの達人、「個」の空中機動が「!」だとしても、全体として
「群」の中にそれが埋もれてしまうほどの差がでちゃうから哀しいんですね。
それゆえ、へんな言いかたですが、敗軍のほうがいわゆる「エース」が輝きやすいのかも。
ところできらら女王さま、途中でやめないで・・ってのが凄く色っぽいんですが。(^o^)
ああ、いや、失礼(汗)。しゅたたたた ←逃


まだまだイケテル 投稿者: がらんどう  投稿日: 3月 5日(土)21時53分50秒

>大石さん、ペガサスさん。漫画さん、まだまだ180度以上大丈夫でしょ? 続けましょう。(さすが、やまいさん、、、笑)
 今日は先週日曜から毎日3時間睡眠くらいできたので爆睡で小休止。レス返せません。明日からまた仕事。管理人気にせずゴーしてください、ALL。

>リノ、すごい昔、村上もとかのリノ・エアレース漫画で、パイロンの垂直旋回をテーマにしてました。


垂直旋回&単位 投稿者: 大石  投稿日: 3月 5日(土)22時19分23秒

昨日は私もひどいカゼで、本当に頭痛ガンガンで、頭も混乱していて・・・

ところで、バンク角90度に近くでの「垂直旋回」という用語もあります。この場合:
1)まじめにGをかけて旋回する(これでは90度バンクでのGは無限大になり定義できませんが)
2)そのほかに何と、ラダーで機首を「吊って」すなわち、左旋回の場合には、右ラダーを相当踏み込んで、胴体側面を気流に対して上方に「迎え角」をとってさらし、胴体側面でなんとか機体重量の分だけ揚力(というか、空気力)を稼ぐのだそうです。この操作、すなわち上がっているほうのラダーを踏み込むことを「トップラダー」といいます。プロペラの推力の垂直成分も吊るすためのものとなります(トルクも関係するでしょう)。

「ナイフエッジ」という曲技課目の原理も同じです。

その際は、エレベータはさらに引くことはできるでしょうが、Gとか風切音とか、どんな感じがするかは私には全く分かりません。 これは、パワーがあり余っている戦闘機や曲技機では成立するかもしれませんが、普通のヒコーキでは「とんでもない」操作となります(胴体が折れるかもしれません)。
このような操作の記述は、当時の戦記あるいは「丸メカ」に時々あらわれます。

現在の航空での単位について

航空では現在、完全にすべてインチ、ポンド、フィート、ノーティカルマイル(海里、1852m、経度の1分の距離)で統一されていて、特にプロの方は操縦士、整備士その他運航関係もすべてこの頭になっています。これで先の式を計算するのは、変な係数をいくつも用意する必要があり面倒で、米国人の設計者でさえ「自分達でもアホくさいとは分かっているのだけれども・・」というのがあります。

もちろんその原因は、世界的な航空牽引国を自認する米国のせいなのですが、英国の影響もあります(すなわち戦勝国)。フランス、ドイツでさえ、運航に限ってはおとなしく従っているようです(アメリカはさいきんさらに強くなってきて、パイロットに対する「航空英語証明」という試験もできてしまいました)。

ですので、一般的に、プロの日本人航空従事者に対してさえ、たとえば航空機のサイズをメートルで言ってもピンと来ません。重量も同じでしょう。一般人に説明する場合にのみ、おおまかにメートル、キログラムを使うという始末です。高度についても完全にフィートだけです。ただし、フランス(欧州)のエアバス系統では、設計だけはメートル法のようで、エアラインでも工具にメートル規格のものをそろえているという話です。

現在この国際的制度(慣習)が改められる気配はみじんもありません。直るのはたぶんアメリカが滅亡するときでしょうが、100年以内におこるかどうか(でもみんな洗脳されています)?ただし、ロシアと中国ではこれが逆で、管制空域内(すなわち領空とその周辺)では高度もメートルで管制されています。国際線用のエアライナーには、高度をフィート、メートルの双方で表示する機能があります。旧東欧圏はどうなっているか興味がある所です。

当然ながら、ソビエトや中国で生産された航空機もメートル法だったでしょうが、とくに1944年にB-29の完全コピーであるTu-4を作るときは、英米のあちこちに駐在するソビエトの資材調達担当官が、インチポンドの工具やら計測器をひそかにガバガバ買い込んだのだそうです(Tu-4の話もひじょうに面白いです)。

いじょうです またすこし頭痛が・・・


単位(続き) 投稿者: 大石  投稿日: 3月 5日(土)22時40分44秒

インチ:0.254m
フィート:12インチ:0.305m
ポンド:0.454kg
ノーティカルマイル:1.852km=経度1度の1/60(地図上でスケールがなくても、経度のマスにコンパスを当てて距離が直接割り出せる)
ノット:ノーティカルマイル/時間


ノーティカルマイル(訂正) 投稿者: 大石  投稿日: 3月 5日(土)23時13分18秒

またまた訂正です:
ノーティカルマイル:「緯度」の1分、地図上の縦のマス目の1度の60分の一、すなわち、緯度1度(北緯、南緯)は60海里で111.2kmとなります。


起きたばっかしで・・ 投稿者: 漫画さん  投稿日: 3月 6日(日)10時09分20秒

大石さん>垂直旋回の解説、ありがとうございます。なんか凄そう・・ゾクゾクしちゃいました。
私なりに、勉強会で教わった結論。やはりフルスロットルが基本のようですね。
大戦後期において、グラマンに射撃位置につかれて、おきまりの左急旋回降下を移った零戦は、さらに不利になるようです。急旋回はやはりまずいです。速度の低下は、自ら墓場に近づく行為。自国の領内なら、フォッケの搭乗員のように脱出した方が懸命です。(それは燃料残量が少ない場合が多いらしいとのVJさんからのアドバイス)
ただ私の最も好きな空戦。硫黄島上空空戦では、坂井三郎はあえて左旋回で危機を回避しています。左、さらに左。彼の横滑りは単純ではありません。少しでも早く旋回運動から開放される準備行為なのです。もしかして、総合速度は通常旋回より速かったのでは?それに敵機の予想射撃位置を外します。

へたくそバイクでの経験ですが(いちおう攻めすぎて五回ほど転倒経験あり)、いち早く直進運動に移るために後ろを滑らす行為ができると、たいへん感動します。
まあ、下手くそバイク乗りのことはどうでもいいのですが、当時、WGPのトップライダーのテクをけっこう調べました。ケニー、スペンサー、それに我が片山啓斉です。WGPクラスだと最も早いとされるグリップ走行ではそれほど差がでません。ドリフトは速度を落とす行為。でもトップライダー達はサーカスと呼ばれたほど、その行為を使っていました。片山に至っては絶対やってはいけない前輪をもすべらせれていました。(各サーキット場のグリップの差もかなりあるようですが)彼らは確実に上位にあった。どうも私の心の中では、過去の大エースも大選手も同じ土壌にいるのです。

がらんどうさんの言ったとうり、敗戦国の末期のエースの飛び方に非常に興味があります。彼らは勝利するための戦いといより、生き残る戦いをしているからです。欧州のP38は爆撃機護衛が主な任務で、教科書的なフルスロットル旋回の基本ですんだ。しかし太平洋では、零戦にこっぴどくやられたせいで、必死な空戦技術が生まれ、ボング、マクガイヤーのような大エースが生まれる。彼らも必死だっかからですね。この数日の勉強会で、ちょいと思いました・・

きららさん>もしよかったら、私の本を読んでください。超文科系頭で書いた空戦冒険活劇です。女性も涙する恋愛ドラマ入りです。かなり空戦の描写が多いので、少しは勉強になるかも・・ここの別板で、がらんどうさんが紹介してくれました。(がらんどうさん、買っていただいて感謝です)


♪やめろっといわれても〜 投稿者: ペガサス  投稿日: 3月 6日(日)11時10分7秒

ここ数日、錆びついた頭で数式こねて最大の発見が、飛行機と車の曲がり方の根本的な違い。(知ってる人にはアタリマエですが、自分には大きな発見でした)

車、バイクが曲がるために必要な力(=向心力)は、路面とタイヤの摩擦力によって得られ、それは速度に係わらず一定。だから急カーブはスピードを落とさないと遠心力に負ける。
ところが飛行機は、速度が大きくなると向心力も大きくなる。車でいえば、スピードを出すほどタイヤのグリップ力が強くなるみたいな。しかも二乗で。
そんな車があったら、カーブは常にフルスロットルでしょうね。

急降下からの引き起こしでブラックアウトするほどのGだというのも、分かってきました。
速度の二乗ですからね。400km/hと600km/hでの引き起こしは、後者は前者の2倍以上のGがかかるわけで。

左急旋回降下。
ゼロ戦のプロペラは正面から見て反時計回り。ということは、プロペラの反作用として機体には左翼下げのトルクがかかってるわけですね。だから左旋回の方が鋭く曲がれるのではないでしょうか。パイロットはそれを体で知っててそういう行動をするのでは?
でも、グラマンのプロペラも同じ方向に回っていますからー。

ゼロ戦をテストした米軍が、ゼロの弱点は右旋回上昇としてますが、これもトルクの影響でしょうか。(非力なゼロは相対的にトルクの影響が少ない気もしますけどね)

きららさん。私らの年代の「男の子」は紙ひこーきで遊んでいるので、飛行機の特性を経験的に知ってるんだと思いますよ。
私が好きだったのは、駄菓子屋で売っているやつで、胴体、主翼、水平尾翼の発泡スチロール?板3枚にオモリとプロペラで1セット。ゼロ戦とかムスタングとか何種類かあるんですよ。
ラダーとかエルロンには切り込みが入っていて、自分で曲げると、上手く飛んだり飛ばなかったり・・・
上反角がなせ必要か?というのも、これで学習しました。上反角がないと、安定してまっすぐ飛んでくれないのです。


やめられない〜♪ 投稿者: 漫画さん  投稿日: 3月 6日(日)13時40分7秒

7G以上だと、搭乗員は間違いなく失神してしまいます。それに軽量設計している優秀戦闘機は、その辺の境目で構造上の破壊が起こります。つまりバイクのコーナリングと飛行機はある制限を受けている点で同じです。バイク、車はタイヤによるグリップ力。飛行機は絶対的な7Gの壁。だかたこそある一定の技量の持ち主は、同じ操作を行います。いっさい横滑りをさせない、理想的なバンク角によるフルスロットル旋回。レースでは理想的な位置取りによるグリップ走行。
ところが坂井三郎、マルセイユ。ロバーツ、片山啓斉は同じ条件下でも、もっと早い。この謎を知りたいのですね〜♪
もし、それを証明していただくと嬉しいな〜♪

私の推測では、ほとんどのレーサー、搭乗員達は未知の領域に踏み込む勇気はない。ところが天才はわざとその領域を作り出す。それで起こる危険な代償をコントロールするテクニックを持っているのですね。
それに機体、車体の方向を意図的に方向を変えることで、横Gから後横Gに変化する行為を作っているような。


うわ、ちょっと見ない間に凄いことに… 投稿者: J1N1-Sa  投稿日: 3月 6日(日)15時25分57秒

>大石さん
あ、フルラダー云々はちょっと筆が滑りましたね。ただ、ちょっとうろ覚えですが、「爆撃機から戦闘機に移ってきた連中は、奇麗な釣り合い旋回をやってしまうので、見ていて不安になる…」なんていう話も聞いたことがあるんで、フルラダーではないにせよ、元々若干は滑らせているんじゃないかと思っています。漫画さんの仰る“教科書通りの旋回”ではない操作ってことなんでしょうね。

ラダーで吊る話は面白いです。理論上はそれでバンク角を限りなく90°に近くできそうだけど、そこまでやるのかなって思っていました。やるとき(というかやる人?)はやるんですねぇ。

あと、我々技術屋はやっぱりSI単位系を使いますから、操縦者の方との単位系の違いはやっぱり困りますね。飛行試験の時には換算表を用意したりしていました。ちゃんとした数表と、m/s×2=ノットとか、m/s×200=フィート/分とかいった簡易数式と両方用意したりして…。

>ペガサスさん
数式上はそうなるんですけど、あとはどこまでそれが適用できるかですね。完全に90°バンクしてしまうと当然高度は急速に失いますし、そうなれば横滑り角が出てきますから見掛けの迎え角も下がりますし、上側に来る主翼が胴体の陰になる部分も出てきますから、CLも相当に失うと思います。てか、失速するんじゃ…。

大石さんが仰るようにラダーで吊ったとしても鉛直方向の力(機体軸で見ると横力ですが)が出ているのは横滑り角が出ているのが前提でしょうからやはり速度や揚力を失っていくんじゃないかと思います。旋回弧を小さくすることだけを追求するならば自分がGに耐えられる範囲でやっても良いのでしょうけど…。

で、実際の談話なんかではやっぱり巴戦を繰り返しているうちに高度をずるずる失っていく話もありますから、完全垂直旋回ではないにせよ、それに近いこともやっているんでしょうね。このあたりの機体の特性を掴んでいたり、失速の予兆を敏感に捉えたりといったところもエースの条件だったのかと思います。

まぁ実際の空戦ではそんなにスロットルに余裕があることはまずないでしょうから、そもそも旋回するときにバンク分のGを稼ぐために加速するなんて局面はあまりないでしょう。大石さんが仰るように、バンクする分迎え角をとって揚力を増してやり、その分誘導抵抗が増えて速度が落ちるのを甘受するという流れになるのだと思います。


リノの場合 投稿者: アンリミ神谷  投稿日: 3月 6日(日)16時21分43秒

ええと、久しぶりに失礼します。
私、理系でもパイロットでもありませんが、リノの現場で見聞きしてきたことなら書けるので、ちょっとお邪魔させてください。

まずスロットルの話。
リノのアンリミテッドの場合、少なくともトップクラスの機体はスタートからフィニッシュまでフルスロットルです。その一方で、ブースト(吸気管圧力)を上げるか下げるか、という操作にはかなりの神経を使っています。
ただし、これは機体の操縦ではなく、レース全体を見渡してエンジンのマネージメントをどう考えるかという問題です。どこまでプッシュするのか、それをブーストで決めるわけです。
レースは予選から決勝まで1週間。最初から無理してエンジンを壊したら元も子もないですが、かといって温存しすぎてライバルに置いて行かれても困る。そこで機体の調子やライバルの出方を見ながらブーストを上げ下げするのです。
パイロットたちは、「だいたいトラブルは洗い出せたから、明日から少しずつブースト上げてくよ。」とか、「さすがにあれだけ離されちゃうと、無理してもムダだから途中でブースト下げたんだよ。」なんていう風に話してくれます。で、コース脇の僕らは「今日はスゲエ音してるなあ。」なんてニヤニヤするわけです。

とまあこんな感じですが、やはり基本はフルスロットル。なぜか? 
リノのレースコースを周回するにはもの凄いエネルギーが必要なのです。

リノの一周約13kmのコースは、1つのパイロンが1つのカーブという感じではなく、言ってしまえば全体が一つの大きな複合カーブ状態です。野球のベースランニングに例えても良いかもしれません。低速なら多角形ですが、高速になれば全てがカーブになる、というわけです。
で、このコース、トップクラスの場合、コース中でバンクを戻すポイントは2カ所しかありません。時間にすれば3分の1以下。しかも完全な水平直線飛行となる瞬間は限りなくゼロです。それ以外は常に深くバンクした旋回状態。トップクラスの機体はグランドスタンド前のホームストレートも70度から80度を超えるようなほぼナイフエッジ状態で抜けていきます。それを6周から8周続けるわけです。
というわけなので「ラダーで吊る」のはここでは普通のテクニックのようです。降りてきたパイロットが「右足パンパンだよ」なんて笑ってることもあったりします。ただ、いつも吊っているのかどうかはまた複雑な問題のようです。しかし、少なくともラダーの使い方が重要なことだけは確かなようで、「大切なのはラダーだよ」というセリフは複数のパイロットから聞いたことがあります。
ちなみに、レース機は垂直尾翼を増積する場合がありますが、あれは方向安定強化の他に、旋回時の揚力確保の意味もあるのだそうです。例えば、クリティカルマスが視界改善のためにキャノピーを大きくした時、胴体側面積が増えたことで旋回時のスピードが上がったという話をチームから聞いたことがあります。
また、P-51の胴体にリアジェットの主翼を組み合わせたミス・アシュレイ2という機体がありましたが、あの主翼の選択は、大迎角での旋回時の抵抗の少なさが最大の理由だったなんて話も聞きました。
こんな風にして、実機の前で関係者から直接聞く話は、説得力うんぬん言う以前に、もの凄い面白さで迫って来ます。

以上、とても大ざっぱなまとめ方になってしまいまして、皆様のご参考なったか心配ですが、まあ、なんと言いますか、スピードによって違うバンク角とか、アリソンとマーリンとグリフォンの音の違いとか、やっぱり実際に見て感じると良く分かるわけで、見れば見るほど発見があって、毎年毎年リノに通ってしまうわけですね。
長文失礼いたしました。


レーサーも作ってみたいな。 投稿者: ペガサス  投稿日: 3月 6日(日)23時22分7秒

神谷さん、はじめまして。
大変興味深く読みました。リノではフルスロットルですか。モヤモヤが少しスッキリしました。
リノのエアレースは、ただの速さではなく、”旋回時における速さ”を競うものなのですね。そして、旋回時の揚力確保に垂直尾翼を増積するとは。
バンク7〜80度であれば、ラダーで吊ることを差し引いても3G程度がかかるのでしょうから、パイロットの負担も大きいのでしょう。

失速ぎりぎりまで操縦桿を引いて回るのか、ある程度余裕をもって抵抗を増やさず回るのか、機体特性やパワーによっても違うのでしょうが、興味は尽きません。


サンクス♪ 投稿者: 漫画さん  投稿日: 3月 7日(月)01時33分7秒

実は、この勉強会で守っていた自分自身の決まりがあります。それは、決して文献を読まずに書き込みをすることです。(自分なりに整理されている事しか書けないため)大石さん、ぺがさすさん、J1Na-saさん、他の方の意見で、ずいぶん修正することができました。本当にありがとうございます。

最後に、今、その禁を犯して「加藤寛一朗:零戦の秘術(講談社文庫)」を読み返して見ました。読んでも相変わらずちんぷんかんぷん。でも157P〜165Pには明快な旋回速度のことが書かれたいます。本をお持ちの方はぜひお読みください。坂井三郎の旋回速度が早い理由がはっきり説明されています。


エアレース 投稿者: 大石  投稿日: 3月 7日(月)02時01分22秒

アンリミ神谷さん&ALL
じつは、垂直旋回を書き込んでから、リノのパイロンを周回するときはどうするのかな?と思っていました。まともに(まじめに)理論どおり旋回していたら、たぶん誘導抵抗が大きくなり、それに大きなGで体が持たないのではと懸念しました(パイロットは大金持ちのおじ(い)さんが多いのでは?)。でもよく解説していただき、納得できました。

旋回中に滑らせるのはご法度だと申しましたが、とくにリノのレースのような非常な低空での空中操作で危険はないのかな、と小馬力小型機パイロットの感想です。一度でいいから、ブン廻す大馬力エンジンのヒコーキを一度でも飛ばしてみたいのですが、余生でその夢がかなうかどうか・・・。

ところで:
ここまで空戦の話が来てしまいましたが、紹介した図書「操縦のはなし」を読んでいただくと、実は本当の有利なる空戦とは「先に見つけて忍び寄って一撃でやる」のだそうで、巴戦は、「相手に気づかれての最後の手段」のように記されています。燃料と時間を食うので、敵地上空の制空戦闘では避けるべきと述べられています。戦闘機パイロットはともかく相手を先に見つけることがカギだそうで、その部分では先のP-38のパイロットの手記に一致しています。

坂井三郎さんの著書で、訓練生を乗せて飛行している場合の見張りで「教官はまず百発百中で、訓練生よりも先に他機を見つける」とありますが、これは真実といえます。私も100人以上練習生を教えていますが、練習生が私よりも先にほかの機体を発見した(された)ケースはほぼ皆無です。私が練習生のときに教官より先にほかのヘリコプターを見つけて報告したところ、「あとはどうぞソロで飛んでこい」と言われたことがあります。

ところで(2):
グリフォン・スピットの燃料ですが、PR XIXを含めて、偵察機タイプは主翼前縁の「Dボックス」の内部が相当部分インテグラルタンクになっていたと思われます。世傑#102「スピットファイア」によれば、PR X、XIでは燃料搭載量は1,042リッターとなっています。ご存知のとおり、スピットの主翼外皮は前縁から主桁までの部分がまるでプラモデルのように上下2枚のスキンを前縁部で合わせただけで、それをプレス型で作ったとすると大層なものといえます。小骨(リブ)はもちろん多数ありますが、こちらは結構手が込んだつくりです。この部分をインテグラルタンク(外皮が直接タンクとなっている)とするには、外皮の継ぎ目も少なくなるので適した構造でしょう。戦闘機型のMk XIVの前縁タンクも、たぶん防弾にはなっていないと思っています。

その主桁フランジですが、理論的にはどの機体でも先細りにする必要がありますが、スピットの場合には、アルミ合金の太い角チューブにぴったりはまる1サイズ下のチューブをだんだんにはめ込んでいって、全体でテーパーになるようにしているそうです。ほかの戦闘機と比べても格段に薄い主翼の強度を持たせるのに、1936年当時の設計として巧妙というかシンプルというか感心します。(テーパー削り出しよりも低レベルの製造技術です。これは"Polish and Metal"という、スピット専門のレストア組織を描いたピクチャー本の記述です)。


爆撃機パイロットからの転科者 投稿者: 大石  投稿日: 3月 7日(月)02時09分7秒

それって、ハルトマンの僚機ではギュンター・カピト少佐のことですね(私もアクロバット大嫌いなので、その少佐のように撃墜されるかもしれません)。


爆撃機転科と赤松さん 投稿者: がらんどう@work  投稿日: 3月 7日(月)23時46分45秒

>宮前さん「ひねりこみは赤松貞明「日本撃墜王」に非常にわかりやすい」って書いてましたが、赤松さんの書いた本ってあるですか!!!!???? ぜひ読みたいです(降下氏の父君を薬缶でひっぱたいたエピソードも載ってたりして、、、笑)

>大石さん、「爆撃機パイロットからの転科者、それって」とは、すいません、どなたの書き込みへのレスでしたっけ(~_~;) ツリー形式じゃないのを初めてうらみます。
 漫画さんならご存知かもしれませんが、ルフトヴァッフェでは戦闘機、爆撃機、その他ってあんまり転科してないです。戦争末期になって、爆撃機パイロットが失職しちゃって人員余剰になったのを、爆撃機貴族のペルツやら、ハヨー・ヘルマンなんかが突撃中隊やメッサー262へコンバートさせましたが、急機動ができない、機関砲を相手に当てられないなど、結局戦果には寄与しなかったようです。
 振り返って我が海軍では、末期にけっこう水上機やら偵察機のパイロットが零戦なんかに転科すてるじゃないですか。それでもって特に戦闘機パイロット側から、ありゃダメのダメダメ、といった強い否定は聞こえてこないように思うんですが、彼我の差はこれいかに?


違うビジネス 投稿者: 大石  投稿日: 3月 8日(火)01時33分12秒

「転科者カピト少佐」というのは、J1N1-Saさんの3/6の「爆撃機から移ってきた連中」で思い当たったものです。

ハルトマンを描いた本を読んだのは1977年ごろで、その当時はまだ練習生だったので「爆撃機のパイロットはそうなのかなぁ」とだけ感じましたが、今考えると(想像だけです)、2機編隊でハルトマンについていったカピト少佐は、無線でガアガア言われたと思ったら、とたんにハルトマンが目前から消え去り、状況がわからずに旋回するところをやられたのではないかと想像しています。

ビジネスが違うのですね。個人の適応性が基本のはずですが、年上で同階級くらいの人には、はっきりものが言えなかったのかもしれません。


大好きな男達 投稿者: 漫画さん  投稿日: 3月 8日(火)09時22分12秒

私、厚木空の零戦隊隊長森岡大尉や二四四空の小林大尉が無性に大好きなのです。彼らは「爆撃機から移ってきた連中」です。偶然にも帝都を守る陸海軍の代表的な集団の空中指揮責任者。爆撃機攻撃は、怖さを知らない元爆撃屋の方がいいんでしょうかね。ドイツも同じ?
森岡大尉が厚木就任時の穏やかな顔から、僅か半年、終戦時の時の顔が変貌してくるのは、その責任の重圧でしょうか・・彼の顔が穏やかだった時に、毎日のように赤松さんが空戦指導をしていたとか。その情景が目に浮かびます。八月十五日所沢上空航空戦なんか、感動モノです。(赤松さんは、酔いすぎてて歩く事もできなかったとか・・)

がらんどうさんの言うとうり「赤松さんの戦記」、私もまだ手にしたことがありません。ああ、読みたいな♪どこからか再販して欲しいです。


遅くなりましたが 投稿者: きらら  投稿日: 3月 8日(火)11時32分22秒

こんにちは、がらんどうさん。風邪がなかなか治りません。
頭の中に何かが詰まっているような感じで回転数があがりません。
発泡スチロール戦闘機みました。ただ飛ばすだけではなくて、どうすれば他の子よりよく飛べるか、などと競争するところが、男の子の上達のゆえんですね。
大人になると、それが模型のコンテストかしら。

>漫画さん
作品はぜひいつか見せていただきたいと思っています。
漫画を描くのはものすごく時間のかかる仕事だと思いますが、プラモも作ってられるんですか?

赤松少尉の本は私もぜひ欲しいです・・・ファンなので。当時の厚木の空気を見たいものです。ギリギリの状況だと最大限の力を出すのが男の人の魅力ですね。


第2回大串会(講師:大石先生) 投稿者: 筆一  投稿日: 3月 8日(火)12時03分12秒

近頃楽しげな書込みを拝読しております。
操縦士ご本人の実体験に基づくコメントは実に説得力があります。

じつは、別宅の漫画さんから、「一席設ければ」との話しもあり
第2回大串会なるものを起案いたします。

文字の世界では、なかなか伝わりにくいでしょうし、誤解も招く事でしょう。
手取り足取り、操縦理論をご指導いただけませんか?大石教官。
皆様、先生から操縦に関する貴重な体験談を拝聴いたしましょう。

日時等は、漫画さんに仕切っていただければと思います(小生は何時でも可)
例の地下室を貸しきります。定員は15名前後ですがオーバーしても何とかなりますし。
土・日は店やってませんから平日で。地方の方も来て下さいな。


がらんどうさん、忙しい? 投稿者: 漫画さん  投稿日: 3月 8日(火)12時50分1秒

がらんどうさん>やっぱり、がらんどうさん参加絶対条件!でも、年度末終わるまで激忙しいようですね。自分はいつでもOKなので、決めてください。

きららさん>私、昨年から漫画家廃業状態。只今、ノベルズ作家しています。でも珍しく、今日は他の作家さんの挿絵の仕事。しかし、こんな凄いの当時の日本が作れるのかな・・?
勝手にカウリングは彩雲改、他にD9,零戦、などのおいしい所取り合体戦闘機を今、描いています。思わず自分でハハハ・・
模型作例はがらんどうさんの所の片隅にまだあるかも・・今、探しに行ってきます・・
あった!http://galland-web.hp.infoseek.co.jp/wchevron/exibit1.html

大石さん>実際の操縦基本知識は、ほんとうにお聞きするしかない・・
先生!と呼ばせてください。


きょうかん 投稿者: 大石  投稿日: 3月 8日(火)22時12分45秒

えーーー
本国で教官配置だった人が前線に出てすぐに撃墜される例が多かったと聞いています。それはたぶん、実際に必要な飛び方と学生に示さなければならないフライトに大きな落差があったのでしょう(自動車学校のことを思えば・・・)。

陸軍士官学校から戦後に空自に進まれた河野四郎さんという方が、戦時中明野飛行学校(三重県)の教官配置のあとで昭和19年に激戦のフィリピンに出されると「内地で教官をやっていた奴は1週間と持たない。貴公もせいぜい気をつけろ!」と現地でいきなり活を入れられたそうです。

多分、西沢広義飛曹長もインストラクターをやらされたとき、自分とあまりにレベルの差がある「ガキども」に愛想を尽かしたのではないかと思っています。他方、坂井三郎氏の大村航空隊での教官方式は、私の一つのすばらしい手本です(セミはできませんが)。

(みなさまとお話できるのは楽しみです。よろしくおねがいいたします)


ジービーレーサー(ホーク) 投稿者: 大石  投稿日: 3月 8日(火)22時45分9秒

幾種類も作ったことはないのですが、ホークのモデルはみな「カッチリ」しているという印象です。
1/32のカマンHH-43ハスキーは傑作で、レベルのUH-1Dと並べると机の上を占領して壮観でした(いま入手できるのでしょうか?)

ジービーレーサ:死んでも乗りたくないです


漫画さんの筆塗りはアンティークの家具を見るようなため息 投稿者: がらんどう@work  投稿日: 3月 8日(火)23時55分33秒

>筆一さん、漫画さん、大石さん、明日本年度総括&次年度方針のプレゼンが終わり、あとフロア引越しやら、異動がらみのなんやらは仰山ありますが、それでも一息つけます。
今週末の飲み会と連荘でなきゃなんとかなりますので、ぜひ参加希望。
 週末、日曜でなきゃまた秋葉蕎麦屋宴会もしたいですねえ。

>大石さん、カピトのこと、ハルトマンの伝記ブロンドナイツ(トリバー他)に出てきた話ですよね。うっすら思い出しました。確かまた爆撃機部隊へ戻っちゃうんじゃなかったでしたっけ?
 ホーク、恐るべし。と思いました。

>きららさん、ご自愛のほどを。また田口ランディの文庫読んでます。
 漫画さんのモケーは、エー、本人の前ではあんまり言ってないと思いますが、あのおそるべき空気感、存在感、深さを具現化することにおいては、いまのモデラーでは極北と思います。かっちりキレー系の旧タイプはいうにおよばず、海外の雰囲気系?連中もまったく歯牙にかけない凄さ。直リン↓
http://galland-web.hp.infoseek.co.jp/wchevron/frame10koba.html

http://galland-web.hp.infoseek.co.jp/wchevron/frame11koba.html


爆撃マン 投稿者: 宮前  投稿日: 3月 9日(水)00時20分16秒

ドイツの爆撃機パイロットは水平爆撃の人ばかりだったでしょうから109のはげしい機動にはとまどったでしょうね。でも、急旋回するとエンストするジェット機には射撃以外(これは訓練しないとダメでしょうね〕は使えたのでは?
我が海軍の爆撃といえば艦爆だし(空戦します)、水偵も観測機は空戦もやったから、戦闘機もそんなに戸惑わなかったのかもしれません。
赤松貞明氏の回想は、古本屋さんで買った空戦記集に偶然はいってました。ですます言葉でていねいな記述ですが、厚木の話はほとんどなくて、中国の話が多かったのと、「わたしはケンカはきらいです」って書いてました。厚木の話は同じ本に入っていた海兵出のぺーぺーの人の回想の方がくわしく、赤松氏は「まっちゃん」と頼りにされてたみたいです。


※上記は2005年3/4-3/9掲示板ログ抜粋です。

2005.03.22